様々な舌がんの症例と首のリンパ節に転移した症例
口腔がん(舌がん・歯肉がん・顎骨腫瘍)と早期発見の重要性
舌がんや歯肉がんに限らず、あごの骨に発生する腫瘍を含む頭頸部がんは、早期発見が治療成績を大きく左右します。肺がん・胃がん・大腸がんのように自治体検診で発見される機会がないため、口腔がんは多くが進行してから見つかるという深刻な問題があります。
実際、初期の口腔がんは非常に判断が難しく、多くの歯科医師でも早期発見が困難です。患者さま自身が「違和感」を感じる頃には、すでに一定の進行を認めることも少なくありません。
特に舌がんの初期は、一般的な「アフタ(いわゆる口内炎)」との鑑別が極めて難しく、わずかな粘膜変化に気づける“専門家の目”と経験が必要になります。
■ 病院勤務時代の実例:口内炎として経過観察 → 実は初期の舌がん
病院勤務時代、舌の側縁に「繰り返す口内炎」として受診された患者さまがいました。当初は典型的なアフタのように見えましたが、経過観察中に数ミリ単位の粘膜の変化を認め、精査の結果極めて初期の舌がんであることが判明しました。
幸い筋層まで及んでおらず、粘膜に限局した段階で舌部分切除術を行うことができ、入院期間も約1週間で済みました。早期発見できたことで、機能・生活への影響も最小限に抑えられました。
■ 開業後も、初期の口腔がんの発見に多数関わってきました
開業後も、粘膜のわずかな“違和感”を読み取る口腔外科的視点をもとに、初期の口腔がんを発見し、専門病院に速やかに紹介してきました。初期で発見できたケースも多く、患者さまのその後の人生に大きく寄与できたと感じています。
口腔がんは初期で見つかれば治療負担は小さく、保存される機能も大きいという特徴があります。当院では、必要に応じて大阪大学歯学部附属病院、市立豊中病院、済生会千里病院などの連携医療機関と密接に連携し、最適な治療体制を整えています。
口の中にできる病気(口腔粘膜疾患)
口の粘膜には色々な病気があります。危険な代表としては舌がんです。口腔癌の中で最も頻度が高く危険な病変です。
特に初期は口内炎と全く見分けがつかないものもあります。
舌がん等は、他の癌に比べると、メディアに取り上げられる頻度が低く、馴染みも無い病変です。
このため、口内炎と思って放置されたり、診断を見誤って重篤に進行した状態で紹介される例を多々認めてきました。
先ずは定期検診と自己チェックによるお口の健康意識を高めることで、簡単に予防ができます。
口腔粘膜の主な症状には、 水泡(ヘルペス等のウイルスでできる点状の小さい水イボ)、 びらん・潰瘍(ただれ感や傷)、白斑(表面が白い、ザラザラする)、 腫瘤(歯茎や舌の出来物、イボ)、 硬結(舌やほっぺたのシコリ、コロコロする塊、首やアゴ下のしこり)などがあります。
また粘膜自体の固有の変化や形の異常などがあります。
胃がん、大腸がん、肺がんなどのがん検診と異なるのは、口の中は目や指で直接診察が可能なことです。
このため、想定される原因の病気や”がん”はある程度絞ることが出来ます。もちろん鑑別が容易でないものもあります。
口内炎(アフタ病変)
最も身近な粘膜疾患です。よく口内炎と言われている病変かもしれません。小さくても非常に痛くて、食事の時に困る場合があります。
ストレスや抵抗力が落ちている時に自然にできる場合や、定期的に繰り返しできる場合、また傷をきっかけにできる場合があります。 浅い潰瘍で、ぽつんと出来た傷の様なものから、写真で示す1㎝を超える大きなものまであります。
ほとんどの口内炎は1週間程度で治ります。しかし、症状が1ヶ月以上かかる場合はがんの可能性も否定できないことが多いため 必ず当院または近隣の口腔外科を受診して下さい。
口腔扁平苔癬(こうくう へんぺいたいせん)
前癌病変(通常より癌になりやすくなっている状態)と言われる口腔扁平苔癬は、頬粘膜(ほほ、ほっぺた)や唇から歯茎によくできます。
辛いものや熱いものに触れると痛みを感じる、といった症状があります。また、舌や指で触ると、ザラザラするという特徴もあります。
非常に治りにくい上に、自覚症状が軽度な場合が多いため、気づかずに放置されている場合があります。
原因は不明ですが、金属アレルギーや、C型肝炎、自己免疫などとの関連性が指摘されています。
発癌物質に対する感受性も高いとされ、癌化することが稀にあります。このため、定期的な検診・治療が必要になります。
白板症(はくばんしょう)
白板症も前癌病変です。程度によりますが、症状がきつくなってくると6~20%は癌化する率が高く報告されています。
初期症状では白い苔のようなものが粘膜にこびり着いている状態です。ザラザラ感はありますが、痛みが無いため放置されやすいです。
何処にでもできますが、特に歯で擦れる部分や、入れ歯で常に押さえつけられている箇所などにできている場合は刺激により悪化する可能性があるため注意が必要です。
軟膏薬では、自然に消えることは全くありませんので、生検後に注意深い定期検診や、全切除などが必要なこともあります。
初期の舌がん
口の中にできる癌の多くは舌にできます。下記の初期がんの2例は生検にて非常に早期に発見できた例です。
色々な場所にできる口腔癌
口の中にできる癌の多くは舌にできます。下記の初期がんの2例は生検にて非常に早期に発見できた例です。
当院では、歯科検診だけでは無く、お口から顔面の異常まで併せて検診を行なっております。また様々な検査を行えます。
血液検査による様々な”がんマーカー”、細菌検査、病理組織検査、感染症検査なども対応しております(病状によって自費になります)。

